自分の仕事があるのに、上司やチームメイトから振られた仕事で、いっぱいいっぱいになっていませんか?
それはあなたの能力が足りないのではなく、あなたが「仕事を頼まれてしまう」側の人間だからかもしれませんよ。
辛いほどの仕事を回されているのなら、一度その理由について考えてみませんか?
「仕事を頼まれるのは期待されているから」は半分正解で半分間違い
仕事は、能力のある人のもとに集まってくると思っていませんか?
どれだけ仕事を与えても涼しい顔でこなし、言われた期日は確実に守り、出来栄えは完璧。
まさに仕事のできる人。
ですが、私の経験上、仕事のできる人ほど、うまく人の仕事を断っています。
仕事ができるとはいえ、所詮は人間。持てるキャパシティに限界があるからです。
キャパを越えた仕事を抱えては、能力のある人でも、じゅうぶんな力を発揮することができません。
このため、本当に上手に仕事をする人は、仕事に優先順位をつけ、取捨選択をします。
自分の能力の限界をわきまえているのです。
「この人に仕事を任せれば安心」という期待感はありますが、毎回仕事を受けてくれるわけではないので、依頼の頻度は減ります。
過剰に仕事を抱えることがないため、大事な依頼には全力で対応できる。
結果、いざというときに頼りになる人、という位置づけとなります。
だから、能力があって、仕事を上手に断れる人の評価は高くなるのです。
仕事を回されるのはあなたが「いい人」だからだ
それでは、よく仕事を頼まれる人とはどのような人でしょうか?
私が今の会社で10年見てきたところ、仕事を回されてしまうのは「いい人」と呼ばれる人たちでした。
真面目で大人しく、人当たりがよく、断られたらNOと言えない。それでいて、投げられた仕事はそつなくこなす。時には残業してでも。
この「いい人」という表現が、なまじ耳に優しい言葉であるため隠されがちですが、そこには二種類のニュアンスが秘められていると思います。
- 人間性のいい人
- 都合のいい人
私の見てきた「いい人」は、もっぱら【2】の方々です。
仕事を頼んでも口答えせず、断るようなことはもちろんなく、よく言うことを聞いてくれる人を「いい人」と呼びます。
このようなタイプの「いい人」は、えてして多くの仕事を頼まれます。
ただただ、自分たちの面倒な仕事を「いい人」に押し付けるだけ。
「いい人」である限り、彼らは消耗していきます。
でも、少し考えてみてください。
会社で働くということは、自分の労働力を会社に売り、その交換価値としてお金を得ること。つまりは商行為なのです。
あなたは、あなたが会社に対して、自分という商品を販売していることを忘れていませんか?タダではないのです。
上司の命令なら聞く必要はありますし、同僚と仲良くやっていくことも、自分が助けてもらうためには必要です。
でも、周囲からの過剰な依頼を受けてもあなたの給料は変わりません。
あなたに過度の仕事を投げてくる人々は、あなたをただ働きさせ、自分は楽をするのが目的です。
あるいは、自分自身の評価を上げるために、あなたの労働力を搾取するのが目的です。
そのような根性を持った人を助けてあげたところで、いつかあなたにいいことがあると思いますか?
「いい人」なんてやめてしまいましょう。
確かに「いい人」をやめると、一時的に周りからの評価が下がり、窮屈な思いをするかもしれません。
でも「いい人」を続けることで、あなたのパフォーマンスは下がっていきます。
結果として仕事の成果に響けば、会社からの評価が下がるのですよ?
そうなってしまっては、誰のために働いているのかわかりません。
「嫌だ」と言うと角が立ちますので、せめて淡々と「できません」と言ってみませんか?
断る理由なんて「自分の仕事で忙しいから」でじゅうぶんです。
それだけで「コイツは一筋縄ではいかないな」と判断され、回される仕事の量は減ります。
あるいは相手が上長なら、自部署の人員が足りていないということに、そこで初めて気が付くかもしれません。
ムリなものをなんとかこなすことは、一見組織が上手に回っているように見えます。
でも、本来ムリな量を無理やりこなしているので、どこかでほころびが生じると、たちまち機能しなくなってしまいます。
ムチャなことをムチャだと言うことは、組織にとってのリスクを顕在化させるために必要なのです。
厳しい言い方ですが、あなたが「いい人」を演じることで、組織としての課題は闇に埋もれ続けることになります。
それは、本当に会社にとって良いことなのでしょうか?
誰にどれだけ仕事を与えるかは会社が考えなくてはいけないこと
本来、誰にどれだけ仕事を与えるかは会社全体が考えなくてはいけないことです。
適正人員が配置されていない部署は、必ず何かしらのサインを発しています。
部署全体の残業が著しく増えていたり、部署に対する苦情や陳情が起こったり。
あなたが仕事を振られすぎて辛いと感じているなら、それはすでに適正な業務量から逸脱しています。
そのサインに対して、見て見ぬふりをするような腐った会社なら、あなたの貴重な人生を安売りする必要はありません。
でも、たやすく転職をする前に、まずはあなた自身が「いい人」をやめてみたらいかがでしょうか?
余計な仕事が減れば、仕事の能率が上がり、会社からの評価も上がりますよ。